先に簡単に違いを述べると
- 産後パパ育休=出産後8週間以内で最大4週間の間、半分働きながら半分休業扱いにできる
- 育児休業(育休)=原則として「子どもが1歳になるまで」休業扱いになる
つまり、産後パパ育休は働いて賃金を貰いながら休業できるのに対し、育休は働くことが禁止されているということです。
- どちらかを選ぶものなのか
- どちらも取得するものなのか
- 一部併用とかもできるのか
いずれのパターンでも取得することは可能です。
ですが、そもそも中身を知らないと最良のパターンを選ぶことはできませんよね。
仕事を休むことに対する罪悪感や、収入減少への不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
生活スタイルや職場環境に応じて「どうするのが最良か」はそれぞれではありますが、一つの参考になれば幸いです。
今回は特に,「産後パパ育休」に焦点を当てながらお話をしていきたいと思います。
なるべくわかりやすく説明していきますので、気になる方は最後までお付き合いお願いします。
産後パパ育休とは
2022年の育児・介護休業法の改正によって施行された制度。
配偶者の出産後8週間以内に、最大で4週間の育休を2回に分割して取得することができます。
大きな特徴は育休中でも労使協定の締結によって就業が可能になることです。
*労使協定の締結とは「労働者と事業主(企業)が労働についての条件や環境などについて双方で合意し、書面で取り決める」ことを指します。
具体的には
- 労働者が事業主に労働条件を申し出る
- 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で就業日・就業時間を提示
- 労働者が同意
- 事業主が通知
しかし、労働条件には一部制限があります。
労働条件に対する制限
- 所定労働日・所定労働時間の半分
- 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
例えば、所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の一般的な会社員が、最大の4週間で産後パパ育休の取得をする場合、
- 休業期間中(4週間)の所定労働日=20日
- 休業期間中(4週間)の所定労働時間=160時間
- 一日の労働時間=8時間
労働条件の制限により、この数字の半分の日数・時間になるため、労働可能条件としては
- 就業可能日数=10日以内
- 就業可能時間=80時間以内休業開始
- 一日の就業時間=8時間未満
に収めることが定められています。
参考:厚生労働省 育児・介護休業法改正ポイントのご案内 / 育児休業特設サイト
育児休業給付金について
育児休業同様に、産後パパ育休も育児休業給付金の対象となります。
金額も同様に「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(上限28日)×67%」となります。
しかし、最大である4週間の産後パパ育休を取得した場合、休業期間中に就業日数が10日を超えて働いてしまうと育児休業給付金の対象外となってしまいます。
この就業日数は4週間の場合での就業日数のため、産後パパ育休の取得期間が短ければ比例して就業日数は短くなります。
4週間(28日)の産後パパ育休or育児休業で育児給付金がどれぐらい変わるのか
年収400万円
→月収:400万円 ÷ 12 = 333,333円
→平均賃金(1日あたり):333,333円 ÷ 28日 = 11,905円/日
上記を前提条件として、
- 育児休業として完全休業
- 産後パパ育休で就労可能日数最大の10日働く
この条件でシミュレーションしてみます。
育児休業(28日間)の場合
一日当たり: 11,905円 × 67% = 7,970円
合計: 28日 × 7,970円 = 223,160円
産後パパ育休(10日間就業 + 18日間育休)の場合
10日間就業: 10日 × 11,905円 = 119,050円
18日間育休: 18日 × 11,905円 × 67% = 143,574円
合計: 119,050円 + 143,574円 = 262,624円
比較結果(年収400万円の場合)
- 育児休業(28日間):223,160円
- 産後パパ育休(10日間就業 + 18日間育休):262,624円
10日間の就業をすることで、39,464円の増加となります。
つまり、一日働いて約4,000円もらっていることになります。
どうでしょう。ちょっと驚きですね。
今回の数字はあくまでも概算の数値になります。
実際には給付金や就業収入には社会保険料や税金が影響するため、最終的な手取り額は異なります。
しかし、一つの金額の目安にはなったと思います。
最後に
僕は育児休業のみを取得したパターンでした。
理由は
- 産後こそ、最も家庭内のケアが必要だから
- 働いた場合に得られる金銭的メリットに魅力を感じなかったから
- 総務と自分の手続きが煩雑になるから
主に1,2が理由で3はおまけ程度になります。
2に関連して、金銭面以外にも「仕事の引継ぎが心配」「なるべく会社に負担をかけないようにしたい」など色々な理由が考えられましたが、「中途半端にいても迷惑になるだけ」とスッパリ考えから切り離しました。
これらの制度は金銭的にも社会環境的にも良い方向に改正が進んでいます。
実際、来年度からは産後パパ育休期間中の給付金を100%に引き上げることや、企業に対する育児休業中の社員への助成金制度の改正が進んでいます。
社会の流れは確実に子育て世代に来ていますので、この波に乗ってより良い育休ライフを過ごしましょう!