医療費控除は、年間で支払って医療費の合計が10万円を超えた場合、超えた金額分が所得控除になる制度です。

ちなみに控除=マイナスと理解しておけば大丈夫です。

皆さんが支払っている所得税は課税所得×所得税率によって計算されています。

所得税計算の基礎となる値である課税所得に対して控除を受けることで、

減税を受けられることになります。

適用するにはどうすればいいのか

条件として、

  • 年間で支払って医療費の合計が10万円を超えていること
  • 確定申告をしていること

が必要になります。

確定申告は翌年の2/16~3/15までに行う必要があります。

確定申告の際に必要な書類

  • 医療費の領収書の提出
  • 医療費控除の明細書の作成(国税庁のサイトにフォームあり)
  • 交通費についての明細(自分で作成する)

が必要になります。

交通費については一覧を自分で作成する必要があるため、

日ごろからメモをするようにすると後が楽になります。

医療費についての補足

  • 病院や薬局での診察・薬代だけでなく、通院にかかる交通費も含まれる場合がある(公共交通機関のみでタクシーなどはNG)
  • 美容目的の医療や、予防接種は基本的に医療費控除の対象外
  • 家族の分も金額をまとめて申告可能

となります。

美容目的の医療以外の治療について

  • 治療のための歯科矯正:噛み合わせの改善や発音矯正など、治療目的の場合に限る
  • 病気やケガによる整形手術:例えば、交通事故後の外見修復など、美容ではなく治療や機能回復のための整形に限る
  • 脱毛症の治療:円形脱毛症など、病気による脱毛の治療は対象になる場合あり
  • レーシックやICLなどの視力矯正手術:視力回復が目的の医療行為とみなされるため
  • メガネやコンタクトレンズの購入:日常生活に支障がある視力矯正のため
  • 不妊治療:身体の治療目的であるため
  • 分娩や妊婦健診の費用:妊娠・出産に伴う健診、分娩費用、入院費用
  • 機能回復訓練:けがや病気からの機能回復のためのリハビリは医療目的とされる
  • インプラント:歯の機能を補うために行われるため
  • アレルギー治療:アトピーや花粉症の治療なども、症状の緩和が目的であれば対象

これらは美容目的の医療以外の治療にあたるため、医療費控除の対象となります。

高額療養費制度との違い

1か月間に支払った医療費に対して、自己負担額が一定の上限を超えた分を後から払い戻してもらえる制度になります。

例えば、年収が約370万円~770万円の人なら、月の上限額は約87,430円です。

注意点

  • 対象:保険が適用される医療費(入院や通院の費用など)
  • 上限額:所得によって決まる(年齢や収入に応じて変動)
  • 申請方法:通常、健康保険組合や市区町村の国民健康保険窓口に申請します。

また、入院時などに「限度額適用認定証」を提示すれば、支払時に上限額までの負担で済むため、一時的な大きな出費を抑えることもできます。

所得控除と税額控除ってなにが違うの?

所得控除と税額控除についても整理しておいた方が良いと思います。

所得税(年収 – 所得控除金額 × 所得税率 – 控除額

にて、求められます。

色分けの通り、

  • 所得控除=所得控除金額
  • 税額控除=所得税

で該当する金額になります。

計算後の金額(税額)から控除を受けることになるので、税額控除の方が節税効果は高くなります。

よく知られているのは、住宅ローン控除や寄付金控除(ふるさと納税)などがこれにあたります。

実例

条件

  • 年収400万円
  • 今年度の医療費の合計が30万円

  1. 医療費控除額の計算
    ( 30万円(実際の医療費) – 10万円(基準額) = 20万円 )
    → 医療費控除の金額は20万円となります。
  2. 還付金の計算
    控除額が決まったら、それを元に還付金額が決まります。具体的な還付金は個々の所得税率に依存しますが、所得税率が10%の場合、
    ( 20万円 × 10% = 2万円 )

この場合は2万円が還付金として戻ってきます。

最後に

確定申告はどうしても皆さん避けがちな傾向があると思います。

ですが、出産や病気・大きな怪我をした場合など大変な時期に必要な手続きになります。

大変な時期にバタバタと初めてのことをやるより、時間のある時に知って作ってみませんか。

僕は収入を増やすより支出を減らす方が簡単で大事だと思っています。

ぜひこの機会に確定申告をしてみてください!