皆さんは医療費控除をご存知ですか。

医療費控除について

実はICLは医療費控除が適用されます。

よく混同するのが高額療養費制度。

こちらは対象外になります。

今回はICL手術をするタイミングによって、少し時期を遅らせるだけで手元に戻るお金が増えるかもしれませんという話になります。

特に育休中にICL手術をする場合に、知っておいた方が良いと思います。

理由は今年度の年収と来年度の年収に大きく差が出るからです。

ICLでの医療費控除の節税効果を最大限利用する

僕の場合、ICL手術にかかる費用は約50万円になります。

医療費控除の額としてはかなりの金額になります。

もし、年度中に一度も医療機関にかかっていない方がICLをした場合、
50万円-10万円の40万円が医療費控除の対象となり、所得控除となります。

しかし、僕の場合は今年の5月に娘が生まれており、その時の出産に払った費用(交通費含む)と自分・妻・息子が医療機関に掛かった際に支払った費用がすでに10万円を超えています。

そのため、50万円すべてが医療費控除の対象となります。

こうして聞くと、控除額が多い今年度にICLをした方が良いように見えます。

ですが、僕は6月から育休に入っているため、そもそもの所得(年収)が少なくなっています。

所得税というのは、この所得から所得控除の合計金額を引いたもの(これが課税所得)に、一定の税率をかけて算出されます。

この一定の税率ですが、課税所得が高いほど税率が高くなり、低いと安くなります。

税率には課税所得に応じて区分けされており、ある一定のラインを下回ると、税額がグッと低くなります。

最大限節税効果を受けるためには、

このラインを自分でコントロールすることになります。

ラインコントロールのためにICLの手術タイミングを見極めようというお話になります。

課税所得のラインを知る

課税所得の計算式

課税所得 = 年収 – (基礎控除 + 配偶者控除 + 社会保険料控除 + 生命保険料控除 + 地震保険料控除)

これで算出された金額に下記の表を当てはめることで所得税率がわかります。

所得税の税率表(2024年現在)

 課税所得金額 税率 控除額
1,000円 ~ 1,949,000円5%0円
1,950,000円 ~ 3,299,000円10%97,500円
3,300,000円 ~ 6,949,000円20%427,500円
6,950,000円 ~ 8,999,000円23%636,000円
9,000,000円 ~ 17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円 ~ 39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

来年度の所得は見込みになるため、目安にはなりますが「所得税を意識して行動した」ということが重要だと思います。

ラインのコントロールとは195万・330万などの境目のラインを意識することになります。

ここでは

  • 基礎控除:48万円
  • 配偶者控除:38万円(配偶者の所得がない場合)
  • 社会保険料控除:80万円(仮定)
  • 生命保険料控除:4万円(8万円の支払いにより最大額)
  • 地震保険料控除:5万円(支払額が5万円で所得税の最大控除額)
  • iDeCo控除:24万円(月2万円の積み立て)

として、年収400万と390万の人を比較します

年収400万の場合

1. 課税所得の計算

課税所得 = 400万円 – (48万円 + 13万円 + 80万円 + 4万円 + 5万円 + 24万円 )
課税所得 = 400万円 – 174万円
課税所得 = 226万円

2. 所得税の計算

課税所得226万円に対して、税率10%と控除額97,500円が適用されます。

所得税 = 課税所得 × 税率 – 控除額

代入して計算

所得税 = 226万円 × 10% – 97,500円
所得税 = 226,000円 – 97,500円
所得税 = 128,500円

年収390万の場合

1.課税所得の計算

課税所得 = 390万円 – (48万円 + 38万円 + 80万円 + 4万円 + 5万円+24万円)
課税所得 = 390万円 – 199万円
課税所得 = 191万円

2. 所得税の計算

課税所得191万円に対して、税率5%と控除額0円が適用されます。

所得税 = 課税所得 × 税率 – 控除額

所得税 = 191万円 × 5% – 0円
所得税 = 95,500円

同じ条件のもと、年収400万の人の年収が10万円上がった場合、課税所得が227万円になるのみなので、増加する所得税額は10,000円になります。

対して、年収390万の人が10万円上がって400万円になった場合、増加する所得税額は33,000円になります。

増えた年収はどちらも同じ10万円ですが、ラインを割ってしまうと所得税の差額にここまで開きが出てしまいます。

このラインを如何にコントロールしていくかというのが今回のお話になります。

どれぐらい金額が変わるのか

ここでは2つの条件で比較します。

1.課税所得340万円に医療費控除50万円を適用しなかった場合した場合

2.課税所得200万円に医療費控除50万円を適用しなかった場合した場合

課税所得340万円

A.医療費控除を適用しなかった場合

  • 課税所得:340万円
  • 税率:20%(340万円はこの範囲に該当)
  • 控除額:427,500円

〇所得税の計算

340万円×20%−427,500円=680,000円

680,000円−427,500円=252,500円

所得税=252,500円・・・①

B.医療費控除を適用した場合

  • 課税所得:340万円
  • 医療費控除:50万円
  • 控除後の課税所得:340万円 – 50万円 = 290万円
  • 税率:10%(290万円はこの範囲に該当)
  • 控除額:97,500円

〇所得税の計算

290万円×10%−97,500円=290,000

290,000円 – 97,500円=192,500円

所得税=192,500円・・・①’


◎差額の計算

①252,500円−①’192,500円=60,000円

課税所得200万

A.医療費控除を適用しなかった場合

  • 課税所得:200万円
  • 税率:5%(200万円はこの範囲に該当)
  • 控除額:0円

〇所得税の計算

200万円×5%−0=100,000円

所得税=100,000円・・・②

B.医療費控除を適用した場合

  • 課税所得:200万円
  • 医療費控除:50万円
  • 控除後の課税所得:200万円 – 50万円 = 150万円
  • 税率:5%(150万円はこの範囲に該当)
  • 控除額:0円(150万円の範囲では控除額はありません)

〇所得税の計算

150万円×5%−0= 7,500円

所得税=7,500円・・・②’

◎差額の計算

②100,000円−②’7,500円=92,500円

結果

課税所得340万円の場合の医療費控除の差額60,000円

課税所得200万円の場合の医療費控除の差額92,500円

そのため、課税所得200万円の場合にICLを行う方が、32,500円多く節税できます

最後に

今回は一定のケースに絞って説明しましたが、色々なケースがあります。

税金については毛嫌いされる方が多い分野かと思います。

ですが、今回の記事を読んで税金に対して、少しでも前向きな考え方をしていただけたら幸いです。

難しい話になっていますので、説明している僕自身でもうまく伝えられているか不安になっています。

拙いながらも、今後も一生懸命発信していくのでよろしくお願いします!

気になること、間違っていることなどございましたら、こちらまで教えていただけると幸いです。

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