前回のお金編に続いて、働き方編として続けていきます。
日本の少子化は深刻な問題となっており、政府は子育て世帯を支援するために育児休業法の大幅な改正を行いました。
今回は、働き方に焦点を当てた内容となります。
お金についての法改正は会社の経理の方も関わってくるため、積極的に情報収集をしてくれたりします。
ですが、働き方については総務の方や事業主の意識次第になってくると思います。
そのため、自ら情報収集してアウトプットしていくことが求められてきますので、この機会に知っていただけると幸いです。
柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務になる
具体的には以下2点
- 3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する、柔軟な働き方を実現するための措置
- 事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
これらが義務化されました。
「義務化された=やらないといけない」ということになります。
・3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する、柔軟な働き方を実現するための措置
柔軟な働き方を実現するための措置とは何かというところですが、
- 始業時間等の変更
- テレワークの実施(10日/月)
- 保育施設の設置運営
- 新たな休暇の付与(10/年)
- 短時間勤務制度
上記の中から2つの制度を選択して措置する必要があります。
①と⑤あたりは既に実施されている企業が多いかと思いますので、3つにしてほしいところですね。
・事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
これは企業側の意識を高めてもらうためにやっていただきたいことですね。
特に男性については、自分で発言しないと今まで通りの勤務状況・勤務時間で働くと思われてしまいますよね。
育児休業法全体に言えることですが、どうしても女性に対しての権利のように思われ、男性については軽視されがちです。
義務化されたことで、意見を発言しやすい環境が用意されることでしょう。
所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
- 小学校就学前の子を養育する労働者が請求可能
つまり、会社に対して「子どもが小さいので私は残業を免除してください」と申請することができる制度です。
こちら、以前は3歳に満たない子を養育する労働者であったので、対象が拡大されたことになります。
ただ、そもそもこの制度が存在していたことを、多くの人が知らなかったのではないでしょうか。
ちなみに残業免除の請求は2009年の育児介護休業法で制定がされていたようです。
僕はこのような制度があること自体知らなかったので、今回の機会で世の中に広く知れ渡ってくれると良いです。
また、このような今まで知られていなかった育児等の制度についても、周知する義務が今回の法改正で発生することになりました。
ぜひ、会社側から話をしてもらいたい制度ですよね。
育児のためのテレワーク導入が努力義務化
3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されることとなります。
気になるのは努力義務化というワードですよね。
- 義務=やらなければいけない
- 努力義務=やったけどできないなら良い
という理解で問題ありません。
なぜ努力義務なのかというと、飲食業・接客業・配送業など、どうしてもテレワークができない業態というのが存在しますよね。
そのような業態に考慮して「努力義務」という程度で抑えられています。
子の看護等休暇への変更
改正前は「子の介護休暇」となっていた制度になります。
これは小学校就学前の子どもの病気・けが・予防接種などを理由とする休暇取得を義務付けた内容です。
今回「子の看護等休暇」に変更されたことにより、上記の理由に加えて
- 感染症に伴う学級閉鎖等
- 入園(入学)式、卒園式
が追加されることになりました。
法律という後ろ盾で、堂々と子の一大イベントに立ち会えるようになります。
これは子の生まれた従業員ではなく、他の従業員に周知していただきたい内容になりますね。
参考:厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
最後に
2つの記事に分けて今回の法改正を紹介していきました。
子育て世帯への追い風は今も吹いていますし、今後も吹き続けることだと思います。
そうしなければ、日本全体の持続可能性が損なわれてしまうからです。
ただ、大事なのは子育て世帯以外の方への制度の周知と理解にあると僕は思います。
子供を理由になんでもかんでも権利を主張されたら、そうではない方はおもしろくないですよね。
入社時の研修とかに育児休業法の講義を入れたら、とてもいい会社に見えてきませんか。
総務担当の方、ぜひ研修プログラムへの導入を検討してみてください。
今回の法改正は、子育て世帯だけでなく、全ての働く人にとっての未来の働き方を考えるきっかけとなるはずです。
制度をしっかりと活用し、誰もが働きやすい職場を目指していきましょう!
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